『ザ・世のなか力』目次と内容紹介
(文庫版は『世間を渡る読書術』に改題)

世間を渡る読書術
ちくま文庫
税抜き820円
2017年12月発売


ザ・世のなか力
春秋社 刊
税抜き1600円
2013年6月発売


※文庫版は『世間を渡る読書術』に改題。新作エピソードを3本追加しました。

目次
お悩み其の一   地球温暖化の真実
お悩み其の二   持ち家、賃貸、どっちがいいの?
お悩み其の三   江戸時代の学級崩壊
お悩み其の四   お金持ちになる方法
お悩み其の五   怒る技術
お悩み其の六   ワシは博士じゃよ
お悩み其の七   目からウロコのお葬式
お悩み其の八   時間にルーズな日本人
お悩み其の九   公務員のホンネ
お悩み其の十   専業主婦 vs. キャリアウーマン
お悩み其の十一  頼朝だってキラキラネーム
お悩み其の十二  のらネコと共存するには
お悩み其の十三  倫理学はおもしろい
お悩み其の十四  野球と統計
お悩み其の十五  いのちを食べること
お悩み其の十六  日本人が知らない西遊記
お悩み其の十七  行動経済学って何?
お悩み其の十八  活字で読む落語
お悩み其の十九  おもしろい文章が書きたい
お悩み其の二十  バナナの皮はなぜすべるのか
お悩み其の二十一 スピーチには名言辞典
お悩み其の二十二 なんとかと煙は……
お悩み其の二十三 マジメに食を考えよう
お悩み其の二十四 バットマンになるには
お悩み其の二十五 科学者は信用できるのか
お悩み其の二十六 どうなってるの日本映画
お悩み其の二十七 体罰は必要ですか
お悩み其の二十八 イノベーションの秘訣
お悩み其の二十九 これでいいのか日本の農業
お悩み其の三十  まちがいだらけの脳科学
お悩み其の三十一 お尻の専門医
お悩み其の三十二 宗教と教育
お悩み其の三十三 古文書入門
お悩み其の三十四 レジャーの歴史
お悩み其の三十五 世界の校則を見てみよう
お悩み其の三十六 歳をとるのはしあわせですか
お悩み其の三十七 論理的に考えたい!
お悩み其の三十八 戦時下の庶民生活
お悩み其の三十九 戦前は超格差社会
お悩み其の四十  ハーフはつらいよ
お悩み其の四十一 あこがれの万引きGメン
お悩み其の四十二 あとからじわじわ効く読書
あとがきにかえて がっかりした本大賞

 女性誌『VERY』で2009年から2年間、Web春秋で2011年から1年半連載した読書ガイド「悩めるお母さんのためのおいしい読書案内」をまとめた単行本。
 連載をはじめるにあたって考えた基本コンセプトは、2008年刊『コドモダマシ』のスピンオフ作品、でした。父と子のための教育論コントだった『コドモダマシ』では、父と息子と祖父の関係性にスポットを当てていたため、母親は脇役扱いでした。
 今回は女性誌の連載ということで、同じ町内に住むべつの家族のお母さんを主役に据えることに決定。VERYの読者層に合わせ、主役のお母さんは30代専業主婦。ダンナの稼ぎは同世代の平均以上あって、賃貸マンション暮らしだけど、そこそこいいレベルの生活をしている設定。
 そのお母さんが毎回さまざまなお悩みや、社会に対する疑問を携えて、商店街のはずれにある古本屋兼立ち食いそば屋「ブオーノそば」に立ち寄ると、店主のパオロが参考になる本を紹介し、見事解決! いや、解決したかどうかは定かでありませんが、世のなかを考えるヒントくらいにはなるであろう、と。
 (参考:舞台となっている町内マップ

 『コドモダマシ』にも、じつは毎回参考文献としてブックガイドがありました。今回はそちらで紹介した本とかぶらないように選びました。それにしても本編で40数冊、単行本化に際しては、各回に「こちらもおすすめ」として同じテーマの類書も紹介したので、全部で70冊くらい紹介したことになります。
 あ、そういえばVERY連載時にも、本文とべつに毎回3冊ほど小さく本を紹介しているコーナーがあったのですが、あれは担当編集者が独自に選んでやってたものです。私はそちらのチョイスにはノータッチだったとおことわりしておきます。まあ、いまさらVERYのバックナンバーを読む人もいないだろうけど。

 あらためて取りあげた本のラインナップを見ますと、むちゃくちゃですねえ。引用句辞典なんて、書評やブックガイドでは取りあげませんよ、ふつうは。
 自分がおもしろいと思った本、内容が有意義であると認めた本だけを取りあげる。この方針だけは曲げずに貫きました。だから新刊を取りあげるとはかぎりません。数年前に発売された本でも、おもしろければ紹介します。ただしいちおう、その時点で絶版・品切れになっていない本という縛りを設けました(この縛りはWeb春秋連載では撤廃しました)
 そんなわけで、女性誌の読者にハマらない本ばかり取りあげる結果となり、編集長方面からやんわりと旬の本も取りあげるよう指示が伝わってきたのを無視して続けてたら、2年で連載は打ち切りに。それでも2年も好き勝手にやらせてくれたのだから感謝です。
 2011年2月に発売の3月号で雑誌連載が終わり、その後、Web春秋に拾ってもらってネットに連載の場を移し再開したのが2011年の7月。単なる偶然なのですが、東日本大震災のときが連載の空白期間だったのです。
 私自身は被災したわけではなかったので、生活に大きな影響はありませんでした。よく使ってる図書館が書庫の復旧をするためにしばらく使えなくなったので、『日本史漫談』の完成がやや遅れたくらいで。
 もしあのときも連載が続いてたら、どんな本を取りあげて、キャラにどんな会話をさせてたんだろう。

 単行本の巻末には、書き下ろしで「がっかりした本大賞」を収録してあります。
 どうせ人に教えるなら、これいいよ! これおもしろいよ! って心から思えるものを薦めたいと思ってますし、書評の仕事やブログでも、そうしてきたつもりです。義理でほめるのもいやだし、ましてや、つまんないものを教えられても得るものはないし。
 だから私はよく雑誌である「今年のワースト映画」みたいな企画も嫌いです。だいたい、ホントにワーストな作品は、つまらなすぎて最後まで観られないはずだから、その内容を他人に紹介することもできないでしょ。最後まで観られたなら、それはワーストではありません。
 かく申す私が珍しくネガティブな企画に手を染めました。以前読んだときにいい本だと思ったのに、読み直したらがっかりした。あるいは、読みはじめはわくわくしたけど、途中からがっかりした。そんな本を4冊取りあげました。大賞は意外な本かもしれません。けっこうあちこちで名著として推薦されている本ですから。
 あ、でもこういう企画はもう当分やりません。やっぱりいいものを紹介するスタンスは崩したくないので。

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